第7話
『強い虎は駆け落ちがお得意』
(挿絵:ピーターパン隊員)
「はぁ……女子のみんなとオレだけでどっかいきたいなぁ……」
雑誌を読んでいるタイガがボソッと言葉を漏らした。
雑誌には【カップルで行きたいデートスポット】とか書かれていた。そういうのを見るたびタイガは憂鬱になる。
「はぁ~……ロマンチックな場所でデートしたい……でも断るだろうし……」
「連れ去れば良いじゃないすか。んでもってデートへもつれ込めば」
「でもオレってさぁ……消極的だからなぁ……」
「(どこが消極的なんだか……)」
「虎の本能が目覚めてる時は理性も何もなくなるんだけど……でもそれじゃぁオレ自身制御できないし」
そんな時医務専門のオオカミが手を拭きながら部屋に入ってきた。
「なら制御できるように覚醒すれば良いわけですね」
オオカミの言葉にタイガは身を乗り出した。
「できるのか!?」
「えぇ。しようと思えば」
タイガの答えは聞かずともわかっていたがもちろん彼の答えは思っていた通りだった。
オオカミはさっそくタイガの耳元にものすごく小さな機械を取り付ける。
「……なんだ?これ」
「理屈は簡単。耳の神経を伝って少しだけ虎のDNAを活性化させるんです」
「大丈夫なのかぁ!?」
「えぇ。少なくとも我を忘れるほどにはならないと思いますよ」
早速オオカミはスイッチを入れる。タイガの様子がだんだんと変わっていく。
「オレは……虎だぁ……」
「た、タイガ様……ご気分はどうです?」
「ガォォォォォォーーーッ!!!!」
オオカミに答えるようにタイガは大きく吠えた。顔つきも表情も覚醒した時に近かった。
「成功したようだな」
タイガが四つん這いになりながらオオカミの方を向いた。
先ほどから行動が動物に近くなっているようで前足をぺろぺろなめたりと猫のような仕草も見られる(笑)
「これで無理矢理つれてこようが大丈夫ですね」
「もちろん。連れ去ろうが×××しようが何も怖くないぜ」
「いくら興奮してるからといって放送禁止用語はやめてくださいね」
「う、そうだな……」
タイガは四本足で目的地へとダッシュした。
その頃本部では男子達と大喧嘩した後の片づけを女子隊員たちがしていた。
「片付けは女子にやらせるって男子達ジェンダー主義丸出しじゃん!」
「それにしても派手にやったね……。これはホワイトがブーツナイフで切りつけた傷でしょ?」
「あの時のホワイトかっこよかったよね~♪格闘家みたいだったもん」
「うんうんバーッと飛び上がってブーツナイフで蹴りいれるんだもん」
話に花を咲かせている頃遅れてパープルがやってきた。
「居残りで遅くなっちゃいました^^;」
「いらっしゃいパープル。悪いんだけど……片付けの残りやってくれない?」
「私たち……。ちょっと逃げた男子隊員探してくるから」
「あ、OKですよ」
この時タイガ本部接近まであと10分であった……。
「さてと……それじゃぁまずはこの辺から……」
そこへ、バンッ!と扉を開けてタイガが飛び込んでくる。
「オイ!お前達!オレと……一緒……に……?」
部屋にはパープルが一人でほうきをはいているだけだった。

「えっと……パープル……ちゃん……だけ?」
「あ、誰かと思えばタイガくん。ちょうど良いから手伝って」
タイガはハイハイとばかりにちりとりを掴む。
「じゃぁこの辺お願いね」
「あ、あぁ……って!ちがーう!!オレはなぁお前達女子隊員を連れ去ってイチャイチャしようと思ってたんだ!!」
「あ、残念でした。今は女子隊員男子隊員を……」
「とにかく!ホントならホワイトちゃんやイエローちゃんも連れ去るんだがっ!今はお前しかいないから」
「私を連れ去ってくれんの!?わー行こ行こ!?」
「え……あの……」
「私いっぺんこういうヒロインっぽいの体験したかったんだよね~。正義のヒロインの王道じゃない?」
「え……ちょっ……」
「早く行こ♪」
それからみんなが帰ってくるにはそんなに時間はかかりませんでした。
「あ~疲れた。男子隊員集めるのに苦労しちゃったよぉ」
「だね~」
机の上には書置きがありました
【少しの間タイガくんと駆け落ちしてみます♪ パープル】
「…………」
