第10話
『ハロウィンとかぼちゃ』
(挿絵:シェンナ隊員)
今日は10月31日ハロウィンの日。
たまには外国の行事もいいものだと言う事でみんなで仮装をすることになりました。たまには(?)イベントもやらないとね。
「わ~いわ~い!ハロウィーンだぁ~♪」
「ハロウィンてなんだろーね~」
「コホン。ハロウィンとはですね」
「お、イエロー。わかるの?」
「もちろん。ハロウィンは日本で言うお盆の前夜祭みたいなものです。元々はケルト人の 宗教的行事で秋の収穫を祝ったりなくなった家族や友人を偲ぶ日が後にキリスト教に取り入れられですね~」
「はいはい!わかったわかったって!」
「あ、これからが重要なのに……」
「はいは~い!みなさん仮装するのは決めましたかぁ?」

ロビーに入ってきたグリーンが早速みんなに呼びかける。
「もちろんもう決まったよ!」
「オレグリーンのコスプレ~」
「私はイエローやりまーす」
「じゃぁオレは……オレは……ピンクを」
「ちょっとまってください!お互いの仮装をやったって面白くないでしょう?」
「でもさぁ……何すれば良いかわかんないし」
「そうそう」
確かにここに居る隊員のほとんどはハロウィン未経験の人がいっぱい居るであろう。一般的なのは魔女だのドラキュラだの……あるけど
「じゃぁこうしましょう。OFFレン隊員の仮想以外で思いつくものを書いてそれを引いて決める」
「……恨みっこ無しだぞ?」
「OK」
「じゃぁ早速書いてください」
みんなあれこれ悩みながら紙に色々書き込んでいく
やっと全員が書き終わるとそれらは箱に入れられる。いよいよ運命の瞬間だ
「当たった物は必ず実行……いいですね?」
「お、おぅ……」
「ドキドキですね」
「じゃぁいっせーのでで引くぞ」
「りょ、了解」
「いくぞ……3……2……1」
「「「これだっ!!」」」
ちょうど仮装が決まった時。向こうではボス代理がメールチェックをしていた
「えーと……。広告ばっかりだなぁ……ん?」
【レッドへ、ハロウィンパーティーをするのでよかったら是非来て下さい グリーン】
こんなメールが届いた。レッドではなくタイガのPCに……。
「……メルアド入力ミスって奴か?でもラッキー♪」

そしてOFFレンジャーの方は、いろいろといざこざが起こっていました。
「な、なんでオレがぁぁぁ……」
「結構似合いますよ。その着ぐるみ」
「うぅ~……シルバー……交代してくれよぉ……」
「絶対イヤ!です」
「うぅ~(涙)」
結果(原文掲載)
ブルー「はむすたあ」
イエロー「天使」
グリーン「インディアン」
ピンク「猫」
グレー「ミイラ」
オレンジ「電球男」
ホワイト「魔女」
シルバー「ドラキュラ」
ブラック「悪魔」
パープル「お姫様」
ライトブルー「オオカミ男」
ピーターパン「ピーターパン」
「ブルー良いなぁ。あたし「はむすたあ」やりたかった」
「じゃぁ変わってくれよお姫様!(怒)」
「精神年齢高くてもドレスは着てみたいんです」
「なんで私がインディアンなんか……」
「ピーターパンってかぶってるんですけど!?」
「私がドラキュラですか……フフ……血ですね血」
「私が天使ですか……あ、白衣の天使って意味ね」
「黒いから悪魔なのか?……俺」
「猫ですか……はむすたあ……やりたかったです……」
「だから嫌なら代われよ!!(怒)」
「魔女かぁ……サッカー選手がよかったな……」
「ミイラ……ただでさえ目立たないのに……」
「オオカミ男ねぇ……オイラに務まるかどうか……」
「誰ですかぁ!?電球男なんて書いたの!」
「あ、俺」
「ブラック!これは意味がわからないんで却下!だよね?だよね?」
「いえもう決定事項ですから」
「でも何すれば良いか……」
「あれだろ?全身黒タイツでクリスマスの電球つけてチカチカさせる奴」
「ビンゴ!」
「意味はわかりましたよ。それじゃぁ準備やりましょう」
「そ、そんなぁ……」
【理不尽という言葉を体で覚えたオレンジだった……】
「はい。グリーンほっぺ塗りますよ~」
「うぅ……フェイスペイントなんて恥ずかしい……」
「かっこいいじゃん。ペイントペイント~♪」
「着ぐるみ完成!はいブルー試着」
「間抜けな顔してるなぁ……こいつ」
「ブラックなんかねぇ……」
「槍でも持たせる?」
「じゃぁ翼も……」
「イエローが天使なんてなぁ……」
「流血の天使じゃないんですか」
「シルバー。あとで医務室来てね」
「私は何もしなくて良いから暇……」
「自然体がコスプレだしね」
「はい。クリスマスのチカチカ電球」
「これこれ!」
「い、嫌だぁーーーっ!?」
そこへタイガがやってきた。彼は何も知らずに幸せそうである。
「みんなー来たよ~♪」
「あ、タイガくん」
「違うってパープル。レッドだよ」
「あ、そっか。タイガ君の仮装なわけだね」
「え、何?」
「そうだよ!タイガがこんな所に来るわけないって!」
「え?え?」
「レッドも渋いですね。タイガのコスプレなんて」
「いや、オレは……別に……」
「でも本物と見間違えますから帽子とペンダント着用しておいてください」
「ちょ!なんだよこれ!」

「さて、メンバーは全員そろったことですし……はじめますか」
「オイ!何だってさっきからいってんだろっ!」
「レッド、タイガのまね上手ですね」
「ホントホント!ウザさまでそっくり~♪」
「ほ、ホワイトちゃん……(涙)」
まぁ何にせよ。上手く侵入できたからよしとするかとタイガは思った。
「(しかしこのメンツ……濃い……)」
「ではハロウィンパーティーをしましょうか?はむすたあ君」
「うるさいよインディアン隊長」
「それは私への挑戦と受け取ってよろしいのでしょうか?」
「いや、別に……」
「では、えーと……なにをすればいいのでしょう?ハロウィンって」
「かぼちゃを食べるお祭りじゃありませんでしたっけ?」
「あ、多分そうですね!仮装してかぼちゃを食べるお祭りでしたよ」
「(違う……こいつら何か間違ってる……!)」
「では、かぼちゃは……えーと……ないですね人数分買って置いたのに」
「(人数分!(爆笑)よりにもよってかぼちゃを人数分!)」
「もう、違いますよ。ハロウィンって言うのはですね……」
「(ぉ、さすがイエローちゃん)」
「ハロウィンって言うのは、かぼちゃを隠してそれを見つけて食べるお祭りなんです」
「(違う!違うよ!イエローちゃん!イースターと変に混ざってるよ!!)」
「そっかぁ~……イエローあらかじめ隠しておいたんだね」
「もちろん♪」
「(まともなのはオレだけ!?オレだけなの!?)」
「では、かぼちゃ捜索いきますか。スプーン各自渡します」
「(オレは正しいよな……正しいんだよな……)」
スプーンが各自に渡されると各自バラバラにかぼちゃ捜索に出かけた。
「いくぞぉー!!」
「オーッ!!」
「オレは間違ってない……間違ってない……」

なんとか突っ込みたい気持ちを抑えつつ探しに出かけた。
「この帽子ウゼー……えぇと……かぼちゃかぼちゃ……」
なんでオレがかぼちゃを探さねばならないんだという思いが頭の中を何度も行ったり来たり。だんだん虚しくなってきた。
「あ、レッド。もう俺見つけちゃったよ」
「私もです~」
ブラックとパープルが廊下に座り込んでかぼちゃを丸ごと食べていた。
さすがに相手にする気にはならなかったので無視して通り過ぎた。

「かぼちゃを丸ごと食う女ってどうしてこう魅力がないんだ……」
そして廊下の突き当たりでグリーンと出会う。
彼はかなり焦っているようで少し汗をかいていた。こいつも見つけられないんだな……
「あぁ……レッドも見つけられませんか……私達だけのようですね……見つけられないの」
「あ、あぁ……そうだな……」
「ブルーとオレンジも泣きながらかぼちゃ食べてましたよ。美味しいのが当たったんでしょうね」
「(いや、多分違うと思う……)」

グリーンは腕で汗を拭くと無言で一礼し、かぼちゃを探しに出かけた。なんだか昔からかぼちゃを探すお祭りだったみたいに思える。慣れって怖い……。
一方タイガはもう諦めたのかロビーに歩いていった。ロビーにはかぼちゃを食べ終わったグリーンを除く一同がずらりと集まっていた。
「さて、今からどうしましょう?」
「せっかくコスプレしてるんですからなりきりで過ごしましょうよ」
「ですね。じゃぁやりましょうか」
「えぇと……お姫様?昨日の点検当番忘れてましたよ」
「あ、すいません!じゃなくて……ご、ゴメン遊ばせ……?」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「そういえばピーターパンこのあと予定ある?」
「ネバーランドへ行く予定……」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「ドラキュラさん。医務室あとで来て下さいね」
「それより血を吸わせてくださいよ」
「ドラキュラさんマジな顔なのが怖いです……にゃ……にゃ……ん」
「恥ずかしがらないでよ……ピンク」
「す、すいません……」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「ンムムムム……」
「ミイラ男何いってんでしょう?」
「さぁ?包帯で聞き取りにくい」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「さっきからはむすたあと電球男うるさいなぁ……泣かないでよ」
「ちゅー」
「チカチカ……」
理性を完全に取り除くことが出来ないみんなは妙に恥らいながら沈黙した。そこへインディアン隊長が登場
「やっとかぼちゃ見つけましたよぉ。あれ?みなさん何を?」
「なりきりですなりきり」
「なりきりですか~私はちょっと……」
「あ、所でレッドはかぼちゃ。見つけたんですか?」
タイガはいきなり問われて少しドキッとしたレッドの振り……レッドのふり……
「え?あ、あぁ……オレ……じゃなくて僕はえーとあの……」
「見つけてないんですか?じゃぁきっとそれですね……」
「それ?」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「フフフ。実はかぼちゃの中に一つだけ景品を入れておいたんですよ」
「景品?」
「10万円です」
「10万円!?」
「ちょっと小金が出来たもんですから」
「小金?」
「法の網を潜り抜けた脱法ドラ……いえ、健全な薬品を開発した物で」
「へぇ。じゃぁ見つけたら10万円もらえるわけだね?」
「そういうことです」
「ダメダメ!オレが見つけてないんだから!オレのもんだろ!!」
10万円と聞いてタイガには考えがあった。
「(10万円あったらいろいろできるぞ……うん。うん……)」
「10万円あったらビル買えるかなぁ」
「2つくらいは買えそうだね」
「マジで!?すごぉ~い!」
「お前ら金銭感覚いつの時代だよ」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「お~い……オレのもんだぞぉ……」
みんなは一目散に駆け出すがタイガは無残にも踏みつけにされて少し切れていた
「10万円は……オレの物だぁっ!!」
遅れまいとタイガは急いで本部内を駆け回った。トイレや屋根裏(?)果ては女子隊員の部屋までも……。
「ここじゃない!」
「違う!」
「違う!」
「ダメ!」
「ダメ!」
「違う!」
「何処だよ!?」
「くそぉ!」
「えーと……」
「あ、この下着もらっとこ」
「隣か!?」
「違った!」
「かぼちゃは何処だぁぁぁっ!!!」
【ロビー】
プルルルルルル……プルルルル……
「ガチャ、はいイエローです。……あ、はい。え!?そうですか……大丈夫。上手くやっておきます」
電話を切ると同時にタイガが泣きながらかぼちゃを持ってきた。

「あったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!あったよイエローちゃん!10万円だよ」
イエローは少し咳払いをすると手をパンパンと叩いた。
「あれ?どうしたの?イエローちゃん」
「ゴメンなさい。レッド」
「はぃ?」
「その10万円ね。巧妙な偽札なんだけどサツが嗅ぎつけたらしいのよ……」
「偽札?」
「……高円寺博士がチップの秘密を漏らさなければ……ホントごめんねレッド」
「あのぉ……?」
「わかってるの。これを機会にきっぱり組織とは縁を切るつもり……だから許してね。あ、骨は収集できるようにしておくから」
「い、イエローちゃん?」
「そういえば私今。天使の役なのよね……はぁ」
ドタドタドタドタドタドタ……
その瞬間黒づくめの男が6人タイガの体をがっしり掴んでトランクに詰め込んだイエローは冷ややかな目でタイガを見つめた。
こんな状況にもかかわらずイエローに惚れ直したのであった。
「それじゃぁお願いね。あ、ボスに言っておいて、私はまだチップのコピーを持っているって」
「イエローちゃ~ん!!!」
「了解しました」
「……そんなミステリアスな所もオレの好……モガモガ……」
ドタドタドタドタドタドタ……
入れ違いに隊員が入ってきた。
「レッドが結局見つけちゃったかぁ……」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「イエロー。10万円はレッドが見つけちゃったみたいだよ」
「そうですね」
「あの?さっきの人は?」
「保険の勧誘の人」
「ちゅー」
「チカチカ……」
「そうですか^^;」
「所でレッドはどうされたので?」
「10万円で当分旅に出るみたい」
「そうなんですか~」
「レッドとも当分会えませんね」
「ホント」
「ちゅー」
「……チカチカしない……」
「電球切れちゃったようですしそろそろお開きにしましょう」
グリーンの一声でみんなはお片づけを始めた。ちょっとかぼちゃ臭くなったけど楽しいハロウィンパーティになった。
レッドも居ればよかったのに……。
「では、みなさんおやすみなさ~い」
「おやすみ~また明日」
今日はとっても楽しいハロウィンパーティーになりました。
「誰かぁ~……俺の着ぐるみ脱がしてくれよ~!俺一人じゃ脱げないんだよ~(涙)こんな落ちベタベタじゃんかよ~(涙)」
☆☆HAPPY END☆☆