第15話
『OFFレンジャーのお正月』
(挿絵:ピーターパン隊員&シェンナ隊員)
「ある日ある場所ある元旦」
2004年1日1日。元旦
「ここで空爆カードを全員に……」
「あ~。これじゃぁ自衛隊派遣カードしか残ってないよぉ~……」
「ちょっと待ってよ。このカード使ったら支持率20%も落ちるじゃん 使うのはやばいよ~……」
「じゃぁ、使わせてやるよ。ハイ、外交官襲撃カード」
「あ~!これじゃぁ道は自衛隊派遣しか残らないじゃん……」
「待って、暴言カードが残ってるよ」
「あ、そうか。じゃぁ~暴言カード」
「総理に聞いてみよう。えーとこのボタンでっと……」
【……これは私の今後に差し支えます】
「あちゃ~。総理キャンセルしちゃったよ。10%落ちね……」
「……もうやめようよこのゲーム意味わかんないし」
「意味わかんないって……総理大臣支持率落としゲームですよ」
「だって無茶苦茶ですよ。今のオレの状況なんて「やさぐれ総理」っすよ」
「沈痛な面持ちカード誰持ってんの?」
「あれ?無視っすか。ちょっと」
「遺族カードとセットで出す気ですね」
「もちろん」
「じゃぁ、10億借金して……沈痛な面持ちカードを買収ね」
「オーイ……」
「ちょっと待ってください。パープルは100兆円借金してますから日本沈没ですよ」
「あ~!しまった」
「残ったのはグリーンとイエロー」
「イエローは支持率を下げつつ好戦的で借金が少ないですね」
「ちょっと黙ってください……。今いい所なんです」
「そろそろ沈めますか……。マスコミカードです。これであることないこと国民行きです」
「ちょっと待ってくださいグリーン。総理コメントを聞かないと」
【……私は断じてそのようなことは行っておりません】
「ホラ、これでマスコミカードはいただきます」
「あぅー……では最終手段の暗殺カードですね」
「は!?」
「暗殺カードを使えば80%の確立で総理が殺害されるんです。ボタン押しますよ」
「20%にかけるしかありませんね~……」
【……父は素晴らしいお人でした】

「ホラホラ、息子さんが偲んでますから暗殺成功で私の勝ちです」
「いいえ。大学付属病院政治家専用カードで総理は復活。裏ルートカードで暗殺者逮捕で私の勝利です」
「あぅ……」
何だか馬鹿らしくなった隊員はだんだん飽きてきた。すると突然グリーンがやってきた。
「はいは~い!お雑煮できましたよ。インスタントですけどー」
「……お雑煮でも食べよっか」
「……だね」
そして敵アジトも例にもれずお正月を迎えるそう、お正月は善人にも悪人にも訪れる物なのだ。
「……お年玉くれよぉ」
彼は以前からお年玉という物に憧れていた。そう、彼は敵のボス代理であるお方。
「……だからタイガ様。何度も言わせないでください。お年玉なんてありません」
「……なんでだよぉ……」
「いいですか?お年玉なんてものは、いい子にしかくれないんですよ?」
「オレ……悪い子だけど……でも」
「ダメです。ボスがお年玉なんて貰って恥ずかしくないんですか」
「……わかったよ……」
すごすごとタイガは自室に帰っていった
ふと机の上に置いてあった年賀状。OFFレンジャーからだった。
【タイガへ】
新年あけましておめでとうございます。
こちらも隊長としていろいろと頑張りたいと思ってます。
そちらのお正月はどうですか?
え?私? 私ですか……女子達の手料理……最高ですよ?
欲しい?欲しいですか……あー残念。
これは隊長のために作ってくれたんです。
「て・づ・く・り」ですよ?フフ。
まぁ、タイガはオオカミのむさ苦しい匂いと毛の混じった料理でも食べていい新年を迎えてください。
やっぱ今年は元気でないといけませんよね? 何事も食事が基本ですから。
たまにはこちらにも遊びに来てください。
その時はおいしい料理を食べている私たちをガラス越しに見せてあげます。
では本年もよろしく。

なんだか妙に腹立たしい文章だったので年賀状をくしゃくしゃに丸めて投げ捨てた。
「くそっ……くそっ……オレばっかりこんな目に!!正月なんて!正月なんて!!」
「大嫌いだーぁぁぁぁ!!!!!!( 嫌いだー嫌いだー嫌いだー(エコー))」
その頃OFFレンは年賀状の仕分けしたり、凧揚げや独楽回しをしたりと模範的な正月を送っていました……。
そして現在。「対抗!今年の抱負大会」なんぞをやっている最中……。
「……それじゃぁ今年の抱負は何にしますか?オレンジ」
「えーと。えーと。廊下を走らな……い?」
「ホント最高。聞きましたか皆さん。今時廊下を走らないですって」
「……ぅぅ」
「誰かこの奇形銀髪と違う考えの方いませんか?」
「(き、奇形銀髪……)」
「えーと。今年はもうちょっとテキパキ動きたいです」
「なるほど。テキパキですね……ふむふむ」
「あのー。そろそろお餅食べませんか?」
急にブルーが照れ笑いをしながら言い出した。
「さっき食べたばかりじゃないですか。お雑煮に豆餅……まだ食べるんですか?」
「だって、腹が減ったし……。あの。もう一個お餅を……」
「お餅って凄い腹持ちがいいはずなんですけどねぇ……」
「いや、だからお餅……ください」
ブルーは何度も手でおなかを押さえ「腹が減った」のジェスチャーを何度も繰り返した。
グリーンも見かねて、
「……じゃぁテーブルの上の鏡餅食べていいですよ。味ないですけど」
「醤油つけて食べるからいいっす^^」
「あ、そうですか……」
抱負選考の真っ最中に空気を読んでいないブルーはそのままテーブルの上の鏡餅を手に取った
邪魔なミカンをどけてでっかいお餅2つ、網の上でしっかりと熱した。
「~♪」
「そんなに食べれるんですかー?」
「大丈夫っす!見た目は子供頭脳は親父っすから!」
「……」

ブルーがあっという間にでかい餅を2つ平らげる様は見事だったそれ以降当たり前だが彼は一度も空腹にならなかった。
「……それでは~。抱負も「がむしゃらに生きる」に決まったことですし次はどうしましょう?」
「そうですね~……。初詣に行くっていうのはどうでしょ?まだ行ってませんし」
「じゃぁ、初詣に行きましょうか。ブルー」
「え、オレは行きませんよ。TVでアニメのSP番組ありますからね」
「じゃぁ、留守番お願いしますよ。3時には帰ってきますから」
「3時……っすか?」
「帰りに色々寄ろうと思って」
「あぁ、はいはい……いってらっしゃいっす」
ブルーの雰囲気に安心したのか特に何も心配することなく一同はぞろぞろと初詣に出かけていった。
「……よし」
ブルーは誰もいないことを確認すると奥からほこりにまみれたチューナーを取り出してきた。
銀色をした小さなチューナー。嗚呼、電気屋でこれを選んだのを思い出す……。
TVにコードをつなぐと緊張の一瞬……。
スイッチをあわせるとなつかしの画面が目の前に姿を現す
【世界の気象台から】
『世界の気象台から。今回は新年SP。日本の有名な気象台をピックアップしていきます』
「おぉ……懐かしい~。この響き」
とある事件を発端に番組の試聴を禁止されていたブルーは密かに視聴の機会をうかがっていた。
以前に比べあまり気象には興味がなくなったものの見るなといわれると見たくなるのが人間。
『さて、まずは東京方面。大島測候所です。 ここは三原山の噴火の際に……』
「なるほどね。子供より興味深い……」
「シクシク……」
『次は新東京航空地方気象台です。こちらでは航空気象を扱っており、飛行機の運行の為に必要な……」
「うわっ!すげっ!!何だこの施設は!!」
「シクシク……」
『では、皆さんお待ちかね。プレゼントのコーナーです。気象台1/1プラモデルを10名の方にプレゼント!」
「おいおい。マジかよ!」
『それでは皆様メモのご用意を』
「シクシク……」
「メモ!?やべっ!用意してねぇ!!」
「シクシク……」
ブルーはふと、さっきから聞こえる雑音に気が付いた。まるで誰かが泣いているようだ。
「まさか……副音声端子か?」
そんなはずはない。端子夫婦は今頃ハワイに家を建てて暮らしているはずだ。手紙も来たし……。
「……俺1人だし~。ま、昼間だし大丈夫っすよね」
おそるおそる耳を澄ましているとどうやら第2寝室から聞こえるようだ。
「(……副音声端子も確かここで泣いていたよな……?)」
悪夢再来かと不安になりながらゆっくりと扉を開けると……みかんが置いてあった。
「……。次はみかんか」
「シクシクシクシク……」
とりあえず話しかけないと話が進まないと思い声をかけたたしかレッドは副音声端子にこういったはずだ。
「……あのーもしもしみかんさん?」
「……」
みかんがこちらに気が付いたようである。
といってもやはり顔がついていない
「どうかされましたか?」
みかんに100万$の笑顔を無理矢理作って微笑みかけた
するとみかんは。
「あんたを殺して私も死ぬ~~~!!!!!!!!」
突然ブルーの顔に体当たりをしてきた
しかし悲しいかなみかんは
「べちゃっ」
……という音を立てて顔に当たった後床に激突した。
「くっ……やるわね」
「……?」
ブルーは意味が解らないままぼーぜんとみかんを見ていた。
「……あの?」
「あんたを殺して私も死ぬ~~~!!!!!!!!」
再度みかんはブルーの顔にぶつかってきた
今度も頭にぶつかった後鈍い音を立てて床を転げまわった
ゴロゴロゴロゴロゴロ……。
「ぐぅぅっ……。つ、次でとどめよ!」
「いや、とどめっていうか……俺ノーダメージっつーか……」
「が、がぁぁぁぁぁん!!!!!」
みかんはなにやらショックを受けたらしく部屋の隅にコロコロと転がって行った
さっきからなんだこいつは。
「……グス……グス……ごめんなさい純一さん……努さん……」
「……?」
なにやら端子夫婦の頃のような展開になりそうな予感がした。
「婚約者ね~。2人も?」
「みかんの国では多夫制なのよ」
「みかんの国?」
「……愛媛にきまってるでしょ」
「あぁ、愛媛ね。レッドの国だ」
そういうとみかんは起き上がりこう応えた。
「そんなことより!あんたを」
「ままま……待ってくださいちょっと、STOPSTOP!」
何度もあんな姿を見せられるとこっちの方が怖いとブルーは思っていた
とりあえずここは平和的解決方法を選択することにした。
「話し合いましょ。まず。ね? えーと。俺何かしましたっけ?」
「……あなたが食べたあの餅よ!……こ、婚約者だったのに」
「あ、あれ?うまかったっすよ」
「あんたを殺して私も死ぬ~~~!!!!!!!!」
3度目みかんは顔にアタックしてきた
3度目なので物凄くいやな音がした皮をむいだら中身が気になる所。
「わかりました。今出してきますから……」
「も、もう遅いのよ~!あんたが食べたんだもの~!!今頃排泄物と化してるのよ~!!!」
「……とりあえず俺にどうしろと?」
「とりあえず……私に殺されてちょうだい」
「……や、ヤダ」
「それしか方法がないのよ……。結局一緒になれなかったんですもの……そうするしか方法が」
「一緒になりたいんなら簡単っすよ」
ブルーはみかんを持ち上げてにっこりと笑った。
「な、なによ……」
するとブルーはベリベリベリ……と皮を手ごろな大きさに一つ一つ剥がして行く
一つはがすたびにみかんは聞きたくないような断末魔の叫び声をあげる
てすべての皮をむききると中身が姿を現す。ブルーは口元にうっすらと笑みを浮かべると中身を一つ一つ人間の肉のように引きちぎっていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁ…………ぁ」
声がもう聞こえなくなるとその手ごろな大きさにひきちぎられた肉片をひとつひとつ噛み千切る
「ジュッ」っと口の中でみかんの血液が飛び散り、それをごくごくと飲み干すとその屍をごくりと飲み込んだ。
それを繰り返すと、残った皮を異臭の漂う箱の中に破棄した
要するに喰したということ。
「(……ま、俺の腹の中で一緒になった方がいいよな)」

その後グリーンたちが帰ってきた。
しっかりチューナーが見つかってしまった。新年早々ついてない……。
「まったく。油断もすきもありませんね。他に何かしなかったでしょうね?」
「大丈夫、みかん食っただけっすよ」
「明かされた秘密」
今日は1月1日。タイガがパープルと電話で話していた。
去年駆け落ちして以来少し親しみが出来たようだ。
「それでね?オレ新年はいっぱい勉強して硬派で行こうと思うんだ。硬派になってナンパするんだ!」
「ナンパしないから硬派なんじゃない(笑)」
「あ、そっかぁ。あ、でもね。今、オレ歴史を調べてるんだ。パープルちゃん何か良い本持ってない?」
「本?本ね……たしか本部の倉庫に古い変な本があったから……それ貸してあげる」
「ホント?やったぜ~♪ありがとパープルちゃん」
「明日本部に来なよ。貸してあげるから」
「パープルちゃんは優しいな~♪ 男とは大違いだ」
「私たち駆け落ちした仲でしょ?パープルでいいよ。ちゃん付け慣れてないし」
「え、そ、そう……?じゃぁパープル……?」
「うん。じゃそろそろ寝るからバイバイ」
「うん。バイバイ」
電話を切ってパープルは布団にもぐりこんだ。
目覚まし時計をセットして。髪留めを外して……眠りに入った。
「また1年きちゃったなぁ……今年こそ良い事があればいいけど……」
そして朝。いやに目覚めが良く清々しい朝。
「おっはよ~!ぱ、……パープル!」
約束されたどおり彼は本部に来た。朝早いからちょっと眠そうだったけどやはりテンションは高い。
「おはよ。タイガくん」
「本は?本は?」
「これこれ。ちょと古くてかび臭いけど……良い?」
「全然OK!でも……読む場所がないんだよね……」
「じゃぁ、地下の倉庫行ったら?机あるし」
「あ、ありがと!ぱ……パープル!
どうも名前の部分で詰まってしまうようで聞き取りにくかった。どうせ彼のことだから「結婚したみたい」とか考えてるんだろうな。
「さて、部屋片付けないと」
パープルは急いで部屋に入って片づけを始めた。
いろいろと懐かしい物が見つかってそれを見返しているうちに2時間もたってしまった。
その頃。
「誰か~!いない~?」
「!」
聞き覚えのある声……。滅多に会うことなんてなかったあの人の声みたい。
急いで階段を駆け下りて玄関に向かった。
「……あ、パープル。あけましておめでと~」
「レッド……?どうしたの急に」
青い帽子のMの字に胸に光る金色の星のペンダント、グリーン隊長就任以来全然会っていなかったレッドだ
まるで非行に走って家出した息子が成金になって帰ってきたような複雑な心境だ。
「今日はパープルだけ?」
特に「感動の対面」といった言葉もなくいつも会ってるみたいに話しかけてきた。少しは余韻に浸らせてくれてもいいのに。
「……ロビーに数人いるみたい」
「パープルは行かないの?」
「ちょっと掃除残ってるし……。あ、そうだ」
「何?」
「部屋に来てよ。隊長交代してから積もる話もあるだろうし……」
レッドの手をつかんで無理やり部屋に引っ張り込んだ。
さてと、今までのアルバムでも見せようかな……。
レッドはパープルの部屋に来るまでにいろんな話をしてくれた活動を休止していろいろあったらしい……。
「所でシルバーはまだ生きてる?」
「失礼な事聞かないでよ。まぁ、ギリギリかな」
「イエローの事だからもう改造し尽くしちゃって食べちゃったかと思っちゃったよ」
「よく言うね」
「オオカミ軍団ともいろいろあったんでしょー?」
「ボスが代わったけどね。レッドが休止しちゃったあと」
「……ガチャ」
レッドが部屋になかなか入らないなーと思うと足の泥を落としてくれていたようだ。
「どうせ汚れるからいいってば」
「いや、新年早々汚れた部屋はね」
ちょっと見ない間に紳士的になったじゃん。と感心しながらレッドの様を見ていた。
でも……ちょっと丁寧すぎじゃぁ……。
「変わってないね~この部屋も」
もっともらしいことを言っているけど……模様替えしたんだけどなぁ……大々的に
「アルバムでも見る?」
「あ、見せて見せて」
「じゃぁ、これが新しいボスのタイガくんね。エロいんだ~」
「あー見るからに馬鹿っぽい顔だね。馬鹿を絵に描いたみたいだ」
「だね」
「馬鹿を写真に撮ったみたいだ」
「うん」
「馬鹿を」
「もういいってば」
レッドは写真にいちいち感想を述べながら見て行った。
どれも客観的な感想で相づちしか打たなかったけどそしてハロウィンの写真でレッドが目をふと留めた。
「……」
「どしたの?」
「これ……僕……だよね?」
「タイガくんの仮装しにきたじゃん」
「いや、来た覚えないけど……っていうか知らないんだけど……」
「……じゃぁ、あれはタイガくんだったって訳か……」
「所でさっきから妙にそいつの名前聞くけど……会って見たいな挨拶したいよ」
レッドが珍しく敵に好意を示していた。
「タイガとやら……勝手に僕の帽子をかぶるなんていい度胸じゃないか君は。フフ」
レッドの笑顔に黒い影がかかって見える。どうやら好意じゃない物を示している模様。
「……怒ってるの?」
「いや、ちょっと落とし前……じゃなくて挨拶したいなーって」
「じゃぁ、後で行こうよ」
「わかった。……じゃそろそろロビーでも行く?」
「そうだね。掃除もどうせやる気ないし」
「だよね~」
レッドが大きな口をあけてにんまりと笑った。うわ~……なんだか嫌な笑い方……。
「じゃぁ、ロビー行こうか」
「うん。行こう行こう」
レッドはこういうところはまだ変わってない。ちょっと安心した反面やっぱりかという気持ちが入り混じる
「寒いぃぃ……この部屋ストーブもないのかよぉ……」
その頃タイガはパープルから借りた本をペラペラとめくって文句ばかりたれていた。
古文というものを知らない彼は意味のわかるようでわからない本とずーっとにらめっこしていた。
「……古の魔物封じられし、し?……先が読めねぇ……この本……文法がなってねぇよ」
なんとか彼は物語の冒頭の部分が解読できただけで詰まってしまった。この本はどうやら伝説や神話を記しているようだ。
「ん。なんだ。後ろに訳が書いてあるじゃないか……どれどれ……」
場面変わってOFFレン本部。ロビーにレッドが入ってくるなりわらわらとみんなが集まってきた。
「あ、久しぶり~レッド」
「レッド今まで何処にいらしたんです?」
「高校生活を楽しんでたよ」
「そうですかぁ~。今年は隊長に復帰の予定は?」
「うーん。いつでもいいんだけどタイミングがね~(笑)」
「いつでもいいのに^^;」
久しぶりだから話も弾む。
「所でレッド。お帰りはいつで?」
「夕方までいるつもりだよ」
「そうですか……僕らちょっと出かけてきますのでパープル一緒にいてあげてください」
「あ、いいですよ」
そういうとグリーン達は急いでロビーを飛び出して行った。2人きりのロビー……。レッドが変な気を起こしませんように……。
「ねぇ」
「ん?」
「私と2人でいて何か思わない?」
「そうだね~。喉が渇いたかな」
よし、大丈夫。元からこういう人だし。
「…………」
「…………」
「……暇だね」
「……そう?」
「しりとりでもする?」
「いいよ。じゃぁしりとりの……め」
「【しりとりの】はつけなくていいから。め……目玉焼き」
「き、急患」
「……んついたよ」
「じゃぁ、急患者」
「もう終わりだってば」
「急患患者!」
「だから終ったの」
何やってんだろうという気になってくる……。
そういえば……タイガくんまだいるのかな倉庫に……。
カンカンカンカン……
そう思った矢先地下階段からもの凄い音が聞こえてくる。
もう帰るのだろうか……。
「ぱ、パープル!」
いきなりロビーにタイガ君が入ってきた。
レッドは特に驚かずぽけーっとした顔で
「君だれ?」
顔だけじゃなく声もぽけーっとしていた。
「……オレはタイガだ。お前の事はパープルから聞いているぞ。馬鹿なんだってな」
「おうおう、オレも聞いてるよ。ボスのくせにガキなんだってね。僕のパープルを呼び捨てできるなんていい度胸じゃないか」
「お前の!?残念だなオレのパープルになったんだ諦めな」
「年下には興味ないんだよパープルは。ね?パープル」
「え、あ」
「フッ……年下の男の方がもてるんだよ。聞いて驚けオレらは駆け落ちした仲なんだよ」
「駆け落ち?健康ランドに行っただけだってパープルが行ってたぞ」
「フン。ほざいてろ」

なにやら男の火花が飛び散っている。っていうかどちらの物にもなった覚えはないし、OFFレンの他のみんなも呼び捨てしてるじゃん。
「……所で何のよう?」
「あ、そうだそうだ」
タイガくんは急いで本を開けるとページのある部分を指差した。
「これ見て」
「?」
「ここだよ。願いをかなえてくれる悪魔を尾布市で封じ込める事に成功。
欲の塊の人間達の魂と引き換え強くなり世界を支配しようとしていた為」
なんだか凄い興奮して喋っていたが私は特に何も思わなかった。
「……だから?」
「その続きを見てよ……その悪魔を封じる為の流星の首飾りをあるものに託す」
「……?」
「わからない?この首飾りの挿絵。こいつのとそっくりじゃない?」
「……そういわれれば……」
レッドが自分のペンダントを外して挿絵と比べた。
たしかにそっくり。ひもの長さもそっくり。

「レッド……そのペンダント……」
「う……小さい頃からしてるから……よくわかんないな」
「つまり。そのペンダントを壊せば……封印が解けて願いをかなえてくれるというわけだ」
タイガがいきなりペンダントをレッドから奪い取った。
レッドはタイガに飛び掛ったけれどもすぐにはじき返されてしまった。
「なにするんだ!」
「悪いな。レッド、オレだって願いをかなえてもらいたいんだ」
そういうとタイガはおもいきり床にペンダントをたたきつけた
これほどか!というくらい粉々に砕け散ってしまった。レッドの顔を見るのが怖い……。
でも何も起こらない。普通ならここで雷が鳴ったり辺りが暗くなったりするんだけど……。
「……封印は解けたのか!?」
「違ったんじゃない?所詮伝説だし……ね?レッド?」
「…………」
レッドは真顔のままぼーっとうつむいていた。ショックが大きすぎたか……。
「……やっと封印が解けたか」
ふとレッドが突然暗く冷たい声で呟いた。
「!」
「え?何?」
意味不明な言葉に驚いている間にレッドの背中から突然大きな黒い翼が生えてきた
爪も異様に伸びて、……何だか顔が別人……。やだな。まるで悪魔みたいだ。
「こいつが悪魔だったのか!」
タイガくんが嬉しそうにガッツポーズをした
え?ってことはレッドが例の!?ちょ、ちょっと唐突過ぎて……何が何だか。

「お前がオレを蘇らせてくれたのか……礼を言うぞ」
なんだか冷たく鋭い声……。聞いているとなんだかゾクッとする
タイガくんは興奮してて何も感じていない様子
「それより!オレの願いをかなえてくれ!」
タイガくんの願いを聞くと悪魔はニヤリと笑った。
「……願いか。確かにそうだな。何が望みだ」
「世界をオレの物にしたい!!」
「いいだろう……では魂を戴くぞ」
「そ、それってオレも悪魔になるって事か……?」
「フッ……解りきった事を。それを承知でオレに願いを頼むんだろ?」
「バタン!」
突然ロビーのドアが勢いよく開かれた
そこにいるのは隊員のみんな。
「……!?」
みんなは唖然とした表情で……私を見てきた。
「あ、あのね。ホワイト、レッドが悪魔でー。そのータイガくんもえーと」
こ、この状態をどう説明すれば……。
「ついに現れたわね……デビルレッド」
「は?ついに……って?」
「ゴメンなさいパープル黙ってて……実は私こいつを追ってたのよ」
「俺もホワイトと一緒にこいつを追っていた。復讐する為にな……」
「追っていたって……ホワイトはただの中学生じゃ」
「私の父はこいつに騙されて殺されたの……だから私は刑事になった」
「あのー……?」
「そして教習所でブルーとであったの……彼も同じくこいつに友人を……」
「黙ってて悪かった。しかし、正体を明かすわけには行かなかったんだ」
ホワイトとブルーが淡々とした口調で説明してくれた。
じゃぁ、ホワイトとブルーは……普通の中学生じゃなかったの……?
「い、イエロー……ほ、ホワイト達が」
「……ゴメンねパープル実は私も」
「ぇ!?」
「私の家は代々この悪魔を監視するのが掟。だからこの団体に入って監視してきたのに……」
「か、監視?我が家って!?」
「私が作ったメカシルバーに内蔵されている悪魔探知機でもしやと思ったけど……まさかね」
「め、メカシルバーって!?メカって何!?」
「メカシルバー!変装形態を解除して早く例のものを」
突然シルバーが銀色の鋼鉄の肌を現した。危ない危ない……下手したら気が触れる所だ。
「実は私達も……」
「ピーターとピンクまで!?」
「ネバーランドを壊滅の危機に陥れた悪魔を二度と開放しないためにこの団体へ……」
「(ネバーランドって……)」
「私も実は妖精なの……メルヘンの国を同じく滅ぼされて悪魔を見張るために」
「め、めりゅへんのくにって……」
……次々と明かされる事実。もう気が狂いそうでた、耐えられない……。
「もう……その辺でいいかな?」
「(次は何……)」
「貴様らがオレを見張っているのは承知していた。まったく愚かな奴らだ」
「フン。それはどうかしら」
「大変。タイガが悪魔化しているわ」
「(誰かこの状況を説明して……)」
「メカシルバー!伝説のアイテムを用意して」
「ムダだ……。オレを封じる事は出来ない……こいつももうすぐオレの配下となる」
「これを見てもどうかしら?」
突然イエローがブラックを連れてきた。
「……そいつがどうした」
不謹慎だけどこいつと同じ考えだ。
「甘いわね……これが伝説のゴールドブラックよ」
「ゴールドブラック……」
……もう何を聞いても驚かなくなってきた。
「何!?まさか……オレが昔壊したはずなのに……!!」
「残念ね。あれはレプリカ。さぁ覚悟しなさい……出でよ!ゴールドブラックソード!」
ゴォォォォォオォォォォォォ……。
「馬鹿な!このオレがまたも!!!」
「さぁ、みんな突撃よ!」
それから数分後空の向こうで小さな光が見えました……。
「…………」
ふと気が付くとそこはベッドの上どうやら寝てたみたい……。時計を見ると夜の2時。
タイガくんに電話していたあと寝ちゃったのか……良く考えたら展開が滅茶苦茶だしね……うん。
「え、でもよく考えたら……あれって初夢……最悪……」
【翌日】
しっかり確認を取った。
シルバーはメカじゃなかった!イエローもただの中学生だった。ピーターは見た目だけピーターパンだった!
「ぱ、パープル~!」
朝早くタイガ君がやってきた。私のやることは唯一つ正夢にならないように
「気安く呼ぶな!この諸悪の根源がぁぁ!!」
……彼は正月の空によく飛んだ。