第19話

『虎の探索、白虎の暗躍』

(挿絵:パープル隊員)

ある早朝。

「ホラン様~!ホラン様~!!!」

オオカミがいきなりホランの部屋に飛び込んできた。
ホランの部屋はタイガの頃と違ってとてもシンプル。白と黒の部屋。まるでチェス盤の世界。
部屋の中にはクラシック音楽が流れる中。ホランが日課の読書をベッドの上で行っていた。読んでいる本は帝王学がどうこうという難しそうな物

「どうした……?」

ホランはオオカミの騒いでいるわけが大体見当はついていたようで。あまり動じては居なかった。

「あ、アジトの玄関に……」
「玄関……またか」
「は、はい……そのようで」

ホランはここ最近同じ問題で何度も玄関へと足を運んでいた。
その理由は玄関に無数に書かれたいたずら書きである。

「ホラ。また油性マジックで壁中に」
「懲りない奴だ……」

いたずら書きの内容はいつものように「馬鹿」「阿呆」「間抜け」と低脳な物ばかりで構成されている。
しかも、ご丁寧に「ばい タイガ」とサインまでいれてくれている。

「監視カメラの前で堂々とやってくれるものだ……」

挿絵

「見張りを立てましょうか?」
「……必要ないな。そんなことに人材を使うのはくだらん。馬鹿には馬鹿をさせておけ」

ホランはそう言うと静かに部屋に戻って行った。

「さすがホラン様だ……」

残ったオオカミは一生懸命玄関の掃除をする。手伝ったものには全て特別ボーナスが支給されるからである。

「ずーっと。ホラン様がいて欲しいよな」
「あぁ、タイガ様の方が失敗作かと思うくらいだ」










部屋に入るとホランはベッドと身なりを整えた後。オオカミに支給するボーナスの計算をし始める。
こんなに給料をやれるのは、ホランの人脈のなせる業。
ホランはタイガと違って普段遊んでいるわけではなく、株に投資したり、某企業に援助して儲けているのだ。

「よし……1人15万程度でいいだろ」

ふと、計算し終えててみると100万ほどほど余りがでていた。
彼にとってたかが100万程度では投資するわけにもいかず給料にしては少ない。

「……そうだ」

彼の脳裏に一つの考えがひらめいた。













その頃OFFレン本部。

「……ただいま~……」

裏口でゆっくりと扉が開いた。落書き犯人の帰宅である。

「フン……これくらいやればホランの奴も懲りるだろ。オオカミだってオレを追い出したことを後悔するはずだ!」

1人都合のいい妄想を抱きながら部屋に入るとライトブルーが立っていた。

「あわわ……た、タイガ。お帰り」
「……何やってんだ。水色」

慌てているライトブルーをよく見るとビデオテープを握っていた。
タイガの部屋にあるビデオといえば野球物かAVしかない。パッケージのピンク色からして間違いなくそれはアダルトビデオ

「それはオレの……お前、AVが見たいのか?」
「え、いや、その……」
「……いいぜ?お前もいい加減大人の男になりたいんだろw」
「いや、だから……違うんだって……」
「無修正動画テープにおこした奴があるから見てみろよ。あ、でもいきなり過激じゃな~」
「だからオイラ……あぅぅ……」
「ついでにオレが女の体についてレクチャーしてやるよ。最高だぜ~女の体はw」

このままでは洗脳されてしまうと思ったライトブルーはビデオをタイガに投げつけた。

「だ、だから違うんだってば!」

タイガの額がうっすら赤くなっていた。力が強すぎたかもしれない
「……AV見たがっていることのどこが違うんだ?」

タイガがどすを聞かせた声でライトブルーに詰め寄った。ライトブルーはそっとタイガにメモ用紙を手渡した。

「……こ、これ。以前レッドが……」
「レッド?」

メモ用紙を奪ってまじまじと見てみるとそこには「秘密のアイテム」と書かれていた。

「秘密のアイテムぅ?」
「オイラこの前倉庫掃除してたらこれみつけて、捜してた所なんだ」
「秘密のアイテムね……」
「こっそりタイガの部屋で捜してたんだけど……。ね。一緒に探さない?」
「アイテムね~。っていうかオレ元悪役だし……OFFレンに+になることはあんまり……」
「じゃぁ、いいよ。オイラ1人で探すから」

ライトブルーがTVの後ろをごそごそと探り出した。

「(秘密のアイテムね……。でもひょっとして……凄い武器だったら……ホランの奴を……)」

「待て待て!ライトブルー!オレも協力してやるぜ!」
「どうしたの?急に」
「まぁ、そんなことはいいから。この部屋にあるんだな?ん?」
「レッドの部屋って書いてあるからね……。多分」
「ほかに何か書いて無いのか!?」

ライトブルーがメモを読み上げた。

「えと。秘密のアイテムの隠し場所 レッドの部屋のどこか AV……だけ」
「オレの部屋の何処かか……。しかし以前の道具は片付けたしな……ん。AV?」

タイガがライトブルーを睨んだ

「そ、そこに書いてあったから……ひょっとして……AVの中にあるのかなーって」

「ふーん……。で、見たのか?」
「…………」
「ふ~ん……」

そういうとタイガはライトブルーの肩をポンポンと叩いた

「そうかそうか。お前も男になったんだな~」

ライトブルーは下を向いていた。それは明らかに探索以外の気持ちがあったことを物語っている。

「……黙っててやろうか?」
「う、うん……」
「じゃぁ、オレの1日子分になってくれよ。どうだ?」
「こ、子分って言われても……」

タイガは何処から取り出したか側にあった箱を引っ張り出してきた。

「まずは、アイテムを見つけたらオレにも貸して欲しい」
「う、うん」
「次に、オレと共にある復讐に協力して欲しい。その代わりちゃんと黙っててやるし……AVの新作出たら貸してやる」
「さ、最後のは別にいいよ……」

ライトブルーが一応納得したことを確認すると、タイガは彼を鏡の前に立たせた。

「?」
「オレの子分はやっぱり子分らしくなってもらわないとなw」

ライトブルーの耳元でタイガは怪しく微笑んだ。






一方、隣のグリーンの部屋では男子の集会が開かれていた。ホランはこれに資金をつぎ込んだのだ

『グリーン様方一同へ。今回我々は敵味方混合の親睦パーティーを催します』という一通の招待状がOFFレン本部に届いた。

「……この際ですので、敵味方関係無しにお互い楽しもうじゃありませんか。 ホラン&オオカミ一同」
「怪しいね。こういうのって大抵罠だけど」
「グリーンは是非きてください。他の男子隊員も一応歓迎。女子はどちらでもOK……ですか」

男子一同は念のため女子にはこのことを話さないことにした。それは、罠にかけられる可能性があった時の為の命綱として。
そしてもう一つは下に書いてある「豪華料理食べ放題」の文字がある為。

「やっぱり美味しい物は少人数で食べないとねw」
「でもオオカミ達もいるしなぁ。ホランだって」
「(ホラン……)」

グリーンはふと考え込んだ。
ひょっとしたらまた口説かれるかもしれない。思ってくれるのは有難いが相手は悪の首領。しかも相手は男。

「……グリーン。ホランのこと大事にしてあげなよ。これが婚期なのかもよ」
「じょ、冗談言わないでくださいっ!」
「今は同性愛者同士の結婚もアメリカの方じゃよく聞く話だし」
「結婚なんて……そんな」

グリーンはふと、結婚した場合の情景を思い浮かべる。
子供は出来ないかもしれないが、向こうにはお金も地位もあるし、見た感じ嫌いじゃない。

「ぉ。グリーンも悪い気はしないみたいだね」
「ま、まさか……。や、やっぱり同性愛者は同性愛者と結ばれるべきです!」
「ふ~んw」
「へぇーw」
「そう来たか~w」
「にゃるほどねーw」

こういう恋愛話になると嫌に乗ってくるのが男子達。周りが冷やかしてくるのは珍しい事ではない。

「じゃ、行こうよグリーンw愛するホランが待ってるよw」
「いい加減にしないと怒りますよ……ホントに」
「おぉ怖い怖い。怖いねーw」

冷やかしは、全く終る気配はなかった……。















「……完成だぜw」

タイガのイタヅラっぽい笑い声を聞いてライトブルーは恐る恐る目を開けた。

「!?」

そこには元気な少年ライトブルーは居ず。
耳にはピアス。体や顔にはタイガのような虎柄模様。
髪型も不良のようで、銀のアクセを所々身につけている。

「……これが……オイラ?」

挿絵

なんだか気持ちが揺らいでいるライトブルーを見てタイガは親指をピンと立てた。

「かっこいいだろ?wオレのおしゃれグッズ! 今日一日。オレの子分として変装のつもりで我慢しろ」
「うぅん……虎になるってこんな感じなのかなぁ……」

実はちょっとカッコいいかもしれないなどと考えてしまうライトブルー。
唯一の救いは水色のみ残っているという事だろう。

「名前はオレの子分らしく~。ん~。タイガJrなんてどうだ?」
「やだよ。そんなの」
「そうか?んー。虎っぽい名前がいいな……んーめんどうだから青い虎で青虎でいいや」
「え~。なにそれ……」

タイガはライトブルーの胸に「青虎」の文字の書かれた紙を貼り付ける。名札のつもりだろう

「よし。完璧だ!さて、アイテム探しを続けようぜ♪……といっても何処にあるのか」
「……ひょっとして床下とか屋根裏かな?」

ライトブルーの何気ない一言にタイガはぴんと来た。
確かに、物を隠すなら床下か屋根裏部屋と相場が決まっているものだ。

「うーん……うーん……どっかで見たんだけどなぁ……」
「どうする?タイガ」
「……タイガ様って言えよ。お前子分だろ?」
「え~!?なんで!」
「お前はオレの子分だし。それに同い年でもオレの方が誕生日6日早いだろ?」

ライトブルーはここで文句をつけてもムダだと思い。
仕方なく今日だけの我慢なのだと言い聞かせて理性を捨てることにした。

「ど、どうしますか?た……タイガ様」
「ぎこちないが……ま、いいだろ」

そういうとタイガはライトブルーの頭をポンポンと叩いて脚立を取り出した。
屋根裏部屋を探す気だ。

「お前下持ってろよ。危ないから」
「了解しました……タイガ様」

ライトブルーがぶっきらぼうに応えた。

コンコン……

タイガが屋根裏の天井板を取り外したちょうどの事。誰かが部屋をノックする。

「タイガー?ライトブルーいませんか?」

グリーンの声だ。

「いねーよーw」

タイガが勝手に応える。

「そうですか……せっかくパーティーに招待されたので誘いに着たのに……」
「えーっ!?いるいる!オイラいるよ~!!」

脚立から手を離してドアを急いで開ける脚立は倒れてしまったが目先の幸せには些細な事に思えた。

「……どなたですか?」

オイラを見てグリーンは呟いたそれ見てタイガは

「オレの子分の青虎さ」

と言い出した。

「あ、そうですか……なんかずいぶんとヤンキーな風貌ですね」
「違うよグリーン!オイラだよ!ライトブルーだよ!」
「ほぇぇ……ライトブルー色の虎ですかぁ……あ、遅れるのでそろそろ失礼しますね」

ライトブルーの願いも虚しくグリーンは去っていった。
嗚呼……秘密のアイテムを隠したレッドが憎い

「じゃ、また脚立を持っててくれるか?また倒されちゃかなわねーしなw」

タイガが落ち込むライトブルーの上で悪戯な笑みを浮かべた









そんなライトブルーの思いが渦巻いていた頃。
ホランはちょうどライトブルーのネームプレートをテーブルの上においていた。

「……よし。こんなもんでいいだろ」
「ホラン様。OFFレンなんかにどうしてご馳走を?」
「……グリーンに……会いたいからな」

挿絵

ホランはそういってテーブルに次々とナプキンを置いていった。

「なんでホラン様をショタコンにしたんだよ」
「いや……タイガ様の性格と逆にしようとしてたら……な」
「もうできてしまったものは仕方ないさ……」
「あれさえなければもっと素晴らしいお方なのにな……」

オオカミの嘆きはここの所絶えない。
しかし、ホランは当初の目的と同時にちゃんと作戦を考えていたのだ。

「(OFFレンを倒して……グリーンを……オレのものに……)」


彼の心はただ躍るばかり。


「ホラン様。OFFレンたちが来たようですが」
「男子だけか?」
「はぁ……俺達にとっては残念なことですが……男子だけです」
「もう来るのか?」
「はぁ。こちらに向かっております」

それを聞くとホランは早速。花束を用意する。

「あの……俺達は……?」
「安心しろ。1流シェフのフルコースを人数分頼んでおいた。部屋に行ってみろ」

タイガからは絶対聞けない言葉だろう。
彼だったらきっと 「そんなのない!お前らは部屋に帰ってろ!」なんて言われただろう。

「こ、こんばんは、ホラン」

グリーンがあからさまに警戒した素振りで大広間に入ってきた。
後からぞろぞろと男子達がやってくるが部屋の内装を見てがやがやと騒ぎ出す。

「ほんとにアジトかよ……ここ」
「ベルサイユっぽいですー」
「ホラン。本当にご馳走してくれるんだろうな?」

ホランは不敵な笑みを浮かべて「……もちろん」とだけ言った。














「ないですよ~た、……タイガ様~」
「そんなことないだろ?もっと捜せよ」

一方ライトブルーとタイガは屋根裏部屋をヘッドライトを頼りに探索中。
ライトブルーは5分おきに後悔の念が強くなってきている
「(オイラがあの時タイガの部屋なんかに入らなければなー)」
「オイ、電池切れた。電池よこせ」
「(今頃みんな美味しい物でも食ってるんだろうな~……)」
「オイ、電池」
「(はぁ……いいさいいさ。オイラはゴーヤでも食べて長生きするさ 琉球王国バンザイ!)」
「……電池だっつってんだろ!!」

タイガの怒鳴り声で、我に変えるとそこはパーティー会場ではなく屋根裏部屋
先ほどから何度もわかっているつもりだが……今の自分の格好を考えるといやでも意識するしかない
この上が通天閣だと思うとさらになんだがテンションが下がる
「えぇ。あぁ……ハイ電池」
「……ったく」
「(はぁ……オイラ通天閣の下で何やってんだろ……)」

そういえば自分の手のひらもホコリで真っ黒になってきた。
ちょうど横に真新しい壁があったのでそこにこすり付けて落とすことにしたがこの壁は何だか奥に動く。よく見ると壁ではなくそれはダンボール

「……ねぇ。タイガ……様?」
「ぁん?」

暗闇の向こうからイラだった感じでタイガが答える。
そんなに苛立つほど秘密のアイテムが欲しいのかとライトブルーは不思議に思った。

「もしかしてこれかなぁ?」
「待て待て!今行くからな」

2分後。ほこりと蜘蛛の巣にまみれた今彼が鏡を見るとそのみずぼらしさに倒れてしまいそうなタイガがこっちに来た。
彼はライトブルーを押しのけてダンボールを部屋のベッドの上に放り投げた。








「……よくやった虎! 中身は……CDやビデオばっかじゃねぇか?どこがAVなんだ?」
「さ、さぁ……レッドの考えている事はよくわかんないね……」

多分「アダルトビデオ」ではなく「オーディオビジュアル」のAVのことだったのだろうが2人にはそれがまったくわからない。

「よし!何か入って無いか?」

タイガがCDやビデオをガチャガチャあさりながら箱の中を探索した
レッドがいたら今頃取っ組み合いだっただろうとライトブルーは考えた。

「お!なにかあったぞ!」

タイガが箱の中から小さな紙切れを取り出した

「何々……箱の中の『僕らのヒーローソングコレクション'70 -ライダーからゴレンジャーまで-』を見ろ?」

それだけしかかかれてなかったようで紙切れを放り出すとそのCDを取り出す

「何々?幻のOVA「魔法のスターマジカルエミ -蝉時雨-』LD版を見ろ?」

と、このように芋蔓式(?)のように次から次へと移動命令が出されていた。

「レッドの奴……めんどくせぇ性格してるな……」
「レッドはこういうワクワクイベントが好きな人だったから……」

そしてやっとすべての移動を終えるとそこにはまた紙切れが入っていた

「何々?研究室へ行け……かやっと終るんだな」

タイガはそこら辺に散乱したグッズを箱の中に乱暴に詰めると、ライトブルーの手を引っ張って研究所に向かった。

「はぁ……オイラをイエローが見たらなんていうだろう……」

挿絵













ちょうどその頃パーティー会場ではホランとグリーンが話し合いがあるということで別室へ。

「……グリーン。せっかくメインディッシュが出たのにね~」
「あぁ、まったく。しかし、美味しいなこれ……」
「テイクアウトOKかな?」
「さぁ。後で聞いてみよう」

などと談話をしているが隣の部屋ではホランが一世一代の賭けに出ていた

「グリーン。オレの愛を……受け取ってくれないんだね」
「敵同士の話し合いかと思えばまたそれですか……。私は申し訳ありませんが……」


「何で……同性愛者じゃダメなんだ?オレは純粋にグリーンが好きなのに……」
「差別しているわけじゃありませんが……私は好みではないのです」

ホランは少しうるうるしていた。こういうのには弱いのだろうか。
傍にいるのに手に入らない。まるでショーウィンドウ内の宝石の如く。

「じゃぁ、どうしてもダメなんだね?」
「すいませんが……」

グリーンがおどおどとした態度でそこから立ち去ろうとした時ホランが肩を掴んだ

「は、離してくださいよ……」

ホランは下をうつむいたまま黙り込んでいる。

「……キミがオレの物にならないんなら……仕方ないね」

ホランの目が赤く光ったかと思うとグリーンの体は金縛りのように動かなくなった。

「!」
「オレの目を見て……グリーン」

その鋭い目をみているうち何だか自分がだんだんと深い所へ潜って行く様な感覚に見舞われた。
そしてだんだん……グリーンの目は虚ろになる。

「……悪かったねグリーン。出来ればこんな手荒な真似はしたくなかったが……」

ホランは虚ろな表情をして立っているグリーンの頬をなでる。

「さぁ、行こうか……キミにはやって貰うことがある……」

こくりとうなずくグリーンを見てホランは口元が緩みそこからは光る牙が姿を現す。











「ガチャ……」

パーティー会場にグリーンが入って来る頃。男子達はテイクアウトの準備中で詰め折がたくさん積み上げられていた。
彼らはすぐグリーンが入ってきたことに気づいたが。目線の先にはグリーンでは無いグリーンがいた。

「ぐ、グリーン……?」
「どうした?」

じっと一点を見つめたまま虚ろな表情をしているグリーンを見て異変を感じ始めた

「グリーンはオレの支配下にある……そしてキミ達もな……」

すぐにホランがグリーンの後ろから顔を出した。
彼の顔は何故だか勝利に満ちている。

「俺達をどうする気だ!?」
「決まってるだろ?キミ達もグリーンと同じになってもらう……」

ホランはそういうとグリーンに首で合図を送り、それと同時に隠れていたオオカミ達が飛び出す。
彼らは無表情のまま頷き、男子達の元へと歩いていく。

そしてホランは1人呟く。

「キミ達はたった今から……オレの忠実な部下になるのだ……」

挿絵