第59話
『今日も元気だ!プチニャンクラブ』
(挿絵:ピーターパン隊員)
『さぁ~始まりましたプチニャン通信!何から何まで生放送!!』
2006年4月1日、大阪のローカル番組として放送を始めた一つの番組があった。
ローカル局には珍しく生放送のバラエティ番組。
その番組の大きな特徴。それは番組からアイドルを誕生させるという画期的な物であった。
これは、そんな番組が始まって一週間が経過した頃に起こった出来事である──。
『さぁ~!始まったぞー!プチニャンつーしーん!』
「イエーイ!!」
いつの間にかタイガになっているレッドがTVの前を陣取って番組を見ていた。
隊員達はコーヒーを飲みながらしばしのブレイクタイム。
とくに見るものが無いこの午後5時頃の時間帯の為特に隊員達は迷惑とは思わなかった。
「はぁ……いつも見てますねぇその番組」
「当たり前だろっ!!オレの好みの女の子結構いるんだからなー♪」
「…なんでしたっけその子達……えーと……」
『では、今日も元気だお尻が電磁波!プチニャンクラブのみんなでーす!』
タイガの体に隠れていないTV画面からは数名の女の子が手を振っている姿が確認できた。
2,3人というより10人程度いるらしい。
「かーわーいーいー!!」
「…タイガは誰が好みなんですか?」
「え?オレ?そうだなー。クラブNO.16の寺尾奈美子ちゃんかなー」
「クラブナンバー?」
タイガはやれやれといった目でグリーンを見た。
「オイオイ~素人はコレだから困るぜ。メンバーには加入順に番号付けされていくんだよ」
「へ、へぇ……」
「ま、お前みたいなガキにはどうでもいい事だろーけどなー」
「……ムッ」
外見がレッドのタイガに言われる為グリーンも半分ムカつき半分抵抗感を感じていた。
とにかく、女子に言って早く戻るようにしてもらわないと会議も開けない。
『プチニャンオーディションのコーナー!!』
「イエーイ!!」
TVの方からは大きな歓声が聞こえる。
タイガもTVを見るときぐらいは静かにしてもらいたい。
『さぁ、今回はいよいよ今日5名の女の子がプチニャンクラブに入りますよー!!』
「おー。今度誰が入るのかなー」
「プチニャンクラブってオーディションがあるんですか?」
「当たり前だろ。毎週月曜から金曜まで5人の女の子が合格する為に出場するんだ。ホント知らねーな」
タイガはこっちも見ずにフッと馬鹿にしたような笑い方をして言った。
また怒りと抵抗のWコンボを感じながらグリーンは持っていたコーヒーを口につけた。
TVでは、タイガが出場した女の子をじーっと懸命に見つめていた。
『まずは、エントリーナンバー1番!城ヶ谷綾香さん』
『えっと、ぴちぴちの17歳です。趣味はピアノです』
『何を良く弾きますか?』
『えーっと…昔はベートーベンとかが多かったんですけど、今はドナドナです』
『ハイ、ありがとうございました~』
タイガは画面に向ってもじもじしていた。
落ち着いてTVを見ることが出来ない奴がいるが彼もその一人なのだろう。
「んー。かわいいにゃー♪」
「今、にゃーって言いませんでした?」
「かわいいなーだよ!!ぶん殴るぞ!!」
「ハイハイ。ごめんなさいごめんなさい」
『では、最後にエントリーナンバー5番!星野龍梧さんです』
「ん?」という文字がその場にいた隊員たちの脳裏によぎった。
その名前に一同はどこかで聞いたような覚えがあった。
だが、タイガは知らないようでいつもどおりニヤニヤしていた。
『エントリーナンバー5番星野龍梧。高校2年生です』
画面に映った姿がよく見えず隊員達はTVに走りよりタイガをTVの前からどかした。
「な、なんだよっ!!」
「あっ!隊長……やっぱり…」
「…ピーターじゃないですか……」
服はいつもの格好ではなかったが間違いなく顔つき、声質はピーターだった。
「え、これピータちゃんなの?服装の違うピーターちゃんもかわい~い!!」
「……ま、まさか。ピーターをTVで見る日が来るとは…」
知り合いがTVに出るという事はなんだか非日常な体験とのようだと言うが、
確かに、いつも見ている人をこうしてTV越しに見るということは非常に違和感がある事だ。
『好きなスポーツとかあります?』
『えー野球観戦とか好きですよ』
『好きな球団は?』
『阪神です阪神(笑)』
こうしているとホントにピーターが自分の側に居たのかと言う事事態信じられなくなる。
「わーい♪ピーターちゃん合格したらオレ応援しよーっと♪」
「で、でもまさかピーターは合格しないでしょう?」
「…ですよねぇ?普通な女の子だし、アイドル性はないですし……」
そうこうしていると早速、コーナーは合格発表へと移っていた。
画面には5人いるが一番右端のピーターに視線が集中する。
『では、合格発表へ移りましょう。100点以上が合格ですからねー。ではスタート!!』
画面上の電光掲示板にバラバラの数字が付いたり消えたりしている。
一番真ん中の女のこの点数が一番初めに表示され、「80点」
どんどん他の女の子の点数が表示されていくがどれも100点には満たない物ばかり。
そして、最後に残ったピーターの点数が表示された……
『おぉーっ!新たなプチニャンメンバーが決まりました!102点です!
5番の星野龍梧ちゃんがプチニャンクラブのNO.19に決定しましたー!!』
ピーターの頭上のくすだまが割られ、中から金銀の紙ふぶきが舞い散っている。
タイガを覗き唖然としている隊員達を他所にその下で嬉しそうにピーターは微笑んでい
た。
夜9時になるかとする頃、今日注目の人物であるピーターが本部へとやってきた。
「ピーターちゃ~ん♪今日、プチニャン通信見たよー♪」
「あ、見てくれたの?合格したんだよー♪」
「よかったねー♪オレ、合格するまで黙っておこうって我慢してたんだよー!」
タイガは5日間気づかなかったくせに本当に調子のいい男だった。
だが、隊員達のほうは微妙な空気だった。
「ちょっとピーター…何にも言わずに芸能界入りなんて」
「大丈夫ですよ。一人であちこち行くわけじゃないですから」
「…まぁ、そうでしょうがね。ピーターは普通の女の子じゃないんですよ?」
「えぇ、プチニャンクラブ19番ですもんね♪」
「違います!!その前にOFFレンジャーの一員でしょう?」
「大丈夫ですって。ちゃんと本部にも来ますから」
「レッドにもキツく言って貰いましょう…。ホワイトお願いします」
ホワイトはコクリと頷いてなれたようにタイガに耳打ちをする。
するとタイガはニヤニヤ笑ってレッドへと戻る。言った事は想像にお任せする。
「ハッ!ぼ、ぼかぁ部屋にいたはずなのに…」
「レッド!ちょっとピーターに言ってやってくださいよ」
「な、何?」
「ピーターがプチニャンクラブのメンバーになったんですよ」
「へー…あの番組の奴?凄いねぇ」
「正義の味方ともあろう隊員がアイドルなんて許せませんよね?レッド」
「凄いじゃないかピーター!よかったねー。これからがんばってね♪」
グリーンが思いっきりずっこけたのととは対照的にピーターは元気良く敬礼をした。
「OFFレンピーター!アイドルで頑張りまーす♪」
ピーターは日曜日に2,3時間だけ来ていたがそれ以外は全てTV局へ行っていた
そして、月曜日午後5時。番組が開始した。
『さぁ!始まりました新しい気持ちでスタートする月曜日!
どしどし行きましょう!プチニャン!つ~しーーーん!!!』
賑やかなスタジオの奥の方からぞろぞろとプチニャンクラブのメンバーが入ってくる。
最後の方からはピーターが笑顔で歩いてくる。なんだかピーターじゃないくらい可愛い。
『さぁ、今日も元気だ!つま先ひび割れプチニャンクラブー!!』
そうこうしている内に何かの曲が流れ始めた。
『では、本日発売!プチニャンクラブのデビュー曲!「被った猫を脱がさないで」です』
メンバー達が歌っている後ろの方で、ピーターはコーラスに回っていた。
振り付けも他のメンバーと全く同じでこの土日の間の練習に成果が垣間見られた。
曲が終わりCMに入り…そうこうしている内にCMは明けていた。
『ハイ、塾なんていってる場合じゃないですよ~5時はお家でプチニャン通信!』
『今日も楽しんでみてくださいね♪』
司会者らしき男性が座っている席の横にはピーターが座っている。
『さて、今日の日直はこの2人でごめんなさい!』
司会者の横にはピーターともう一人のメンバーらしき女の子が座っている。
『ハイ、今日は朝からずーっと眠いです。クラブナンバー6番の木本亜紀です』
『えー初めての日直担当で緊張しています。クラブナンバー19番!星野龍梧です』
会場から拍手が起こる。ピーターも少し照れている。
「にゃはー…可愛いなぁ~♪」
「(…意外と上手く出来ているじゃないですか)」
なんだか嬉しいような歯がゆい気分のグリーンを残したまま番組はどんどん進行する。
「あの、タイガ…?」
「あ?何だよ」
「いつも番組の時間になるとタイガになってますが…どうしたんですか?」
「あー。部屋に張り紙してるんだよ『午後5時になる前に帽子を見ろ』ってな」
「……な、なるほど。レッドのことですから何かと思ってやりそうですね」
「見逃したくないもんなー。ピーターちゃんが出てればなお更だぜ♪」
すると、ちょうどCMも明け画面はピーターのアップに変わっていた。
『ハイ、次のコーナーは大人気コーナーのプチニャンショットです』
『会場のお客さんの中から選ばれたツワモノの中で一名だけが私達と写真を撮れますよ』
『それではどうぞー♪』
タイガがでっかい声で「いいなー!」と叫ぶ。いい加減うるさい奴だとグリーンは思っ
た。
『プチニャンショット!今日のお相手はこちらのプチニャン!』
「お?」
グリーンの視線がピタリと止まった。
『えっと、クラブナンバー12番の河合夢子です。皆さんよろしくお願いしまーす』
フランス人形のような綺麗な顔立ちの女の子。グリーンは思わず彼女に見とれてしまった。
「あ、あの…タイガ。この人誰ですか?」
「あ?司会者?」
「いえ、そこの女の子です」
「あー夢子ちゃんね~。19歳だよ。歌も上手いしモデル体系だし可愛いよな…」
タイガは急にハッとしてグリーンに向ってニヤリと笑った。
「そっか。お前もついにハマりだしたかぁ~?」
「い、いや…綺麗な人だなぁと…」
「……」
横のピンクが黙ってマータをいじっている。
しかし、グリーンはついつい画面の中の彼女に見とれてしまった。
そうこうしている内にコーナーも終了し、ゲストのコーナーへと移ってしまった。
「はぁ…」
「今度、夢子ちゃんソロデビューするんだぜ。CD予約しとけよ?」
「いっ!いえいえ!私はそういうわけじゃ!」
「…カップリングはプチニャン全員がコーラスしてるしオレは買うけどな」
「………」
グリーンがTV画面に目をやると番組はそろそろ終了時間へと向っていた。
『では、ここで番組からのお知らせです』
切り替わった画面のフリップを持ったメンバーの中に映った彼女をグリーンは探していた。
すると二人ずつフリップを読み始め、ついに彼女の番が来た。
『…ハイ、みなさんも私達と一緒にプチニャンクラブに入りませんか?』
『プチニャン通信では新たなメンバーを大募集中です♪』
『詳しい内容はこちらです。クラブナンバー12番河合夢子と』
『クラブナンバー18番の永尾ルリでした♪』
はー…と見とれたままグリーンは無言になってしまった。
その様子を見ながらタイガは再びニヤニヤしていた。
そのせいで最後のピーターのタイトルコールを二人は聞き逃してしまった。
『今日も元気だ!おめめがミジンコ!プチニャンクラブ~~!!』
次の日、タイガの横にはグリーンが座るようになってしまった。
その後ろで見ている男子隊員。それらを遠くから面白くなさそうに見ている女子隊員。
すっかり、OFFレン男子隊員の中では密かなブームになりつつあった。
『次は、プチニャンクラブとお話できるプチニャンテレフォンのコーナー!』
「な、なんですか?プチニャンテレフォンとは」
「あー?プチニャンが適当に電話をかけてキーワードを答えられたら好きなメンバーと話せるんだよ」
すっかり、グリーンの質問の回答役になったタイガが自慢げに答える。
こういう少ない知識をひけらかす所はやっぱり変わってない
「はー…しかし、そんなことしちゃっていいので?」
「こう言うメチャクチャさがこの番組の売りなんだよ売り」
画面には電話をかけている番組レギュラーらしき二人。
電話の横には『キーワード:へちま』と書かれた大きなフリップがある。
『PPP…はい、斉藤です』
『キーワードは!?』
『え?』
『キーワードは!?』
『な、なんなんですか貴方…』
『解らない!?解らないのか!?』
『なんなんですか!悪戯ですか?警察呼びますよ』
『ハイ失格!少しはTVくらい見ろよこの糞馬鹿が!』
ガチャンと受話器を置いてガッツポーズをとる男。
非常に不謹慎極まりないが観客はワッと沸いておりみているこっちもなんか許せてしまう。
「…むー。なんかすごい過激ですね」
「これが良いんだよ。ガキにはわかんねーだろうけどなー」
「……電話、ここにもかかってきませんかね」
「なんだ?お前も話したいのか?」
「いっ、いえ…ちょっと面白そうかなぁ…なんて」
「ふ~ん」
タイガのニヤニヤした顔をグリーンは直視できなかった。
『では、ここでお知らせがあります』
『みなさんこんにちは。クラブナンバー12番の河合夢子です』
「お、お前のお気に入りがやってきたぞ」
「い、嫌ですね。そういうんじゃないんです」
とは言うもののつい画面の方へと目がいってしまう。
『えっと、夢子のファーストシングル『station』がいよいよ今日発売になります。
初回特典には夢子のポスターが付いてきますのでみなさん是非買ってくださいね』
『では、河合夢子ちゃんに歌っていただきましょう。どうぞー』
……歌が終るとスタッフロールが流れ始め、司会者のコメントで番組は終了した。
なんだか、映像にスモークをかけていたせいもあるが夢を見ているような画面だった。
「……明日発売…ですか」
「オレは3枚予約したもんねー。今頃予約したんじゃポスターは付かね~だろうなぁ~」
「あ、あのタイガ…」
「あ?」
「私に一枚売ってください!」
グリーンはタイガの肩をガシッと掴んだ。
「な、なんだよ!」
「2倍の値で買います」
「はぁ!?てめー!ふざけんじゃねーぞ!!」
グリーンの要求とタイガの拒否はそのまま延々と続いた。
その様子を観て呆れ返っている隊員と不機嫌そうな女子隊員…。
『プチニャンつ~し~~ん!!』
翌日も番組は始まった。
今日の日直は河合夢子。グリーンはCDを持って顔には出さないが嬉しそうな表情をしている。
「あー。この番組最近全然見てなかったなぁ」
その後ろで、タイガになり損ねているレッドが立っていた。
どうやらついに彼の作戦は失敗したようだ。でも、誰もタイガにしようとしない。
「こんにちはぁ!」
珍しく本部にエコがやってきた。今回はノーマルエコだから心配する必要も無い。
エコは辺りを見回して誰かを探しているようだった。
「えーと…あ、いたいた!」
「ん?キミは確か…」
「ちょーっと失礼」
エコはレッドの帽子を掴んでぐっと顔にかぶさるように引き摺り下ろす。
レッドは突然のことに慌てるが、じきにタイガへと変貌する。
「ぷはっ!なんだよ。まったく」
「あ、タイガ先輩。ちょっと先輩の意見を聞きたくって…」
「ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!番組始まってんじゃーーーん!!!!」
タイガはエコを突き飛ばすとTVの前に座っているグリーンを押しのけてTVの前に座った。
「うわぁぁ…プチニャンフォーカスのコーナー終ってんじゃんかよぉ…」
「残念でしたね。今日は結構も面白かったのに」
「くそぉ…まぁいいや。念のためDVD録画しておいたから」
「あ、あの…タイガ先輩…OFFレンを倒す為にどうすれば良いか教えて欲しいですケド」
エコがタイガの方をポンポンと叩くがタイガは鬱陶しいように手で払う。
「あーでもプチニャン指相撲はまだだな。よかったよかった」
「せ、先輩…」
「あー!もううるせぇな!どっかいってろ!」
タイガに一喝されてエコはしゅんとしたまま静かに本部を後にした。
タイガはすっかりエコのことを忘れて番組に見入っていた.
「…先輩がオレの話を聞いてくれない…こうなったらあの番組を…」
エコは尻尾のボタンに手を掛けた。
『さぁ、来週から新ユニットが誕生だ!その名もプチッ子クラブー!』
翌日、なんとか番組前にタイガか化できていたようで10分前からスタンバイしていた。
番組はOPをすっ飛ばしてなにやら特集を組んでいた。
『来週、シングルを発売する事となった新ユニット…そのメンバーは…!?』
『クラブナンバー16番、高井奈美子です♪』
『クラブナンバー19番、星野龍梧です♪』
どうやら、ついにピーターがCDを出す日がやってきたようである…。
しかし、隊長はタイガになっているし、グリーンは番組を見ているし、
隊員も呆れて何もいえないし…。OFFレンもすっかり機能停止状態だった。
そんな隊員達を見かねてピンクが数週間ぶりにグリーンに近づく。
「…あの。隊長がいないんでグリーン…」
「ん?どうしましたピンク」
「…最近、ぜんぜん会議とかやってないじゃないですか…」
「あーそうですねー。ちょっと番組終わってからにしてください」
「………」
いい終わるとグリーンは再び画面に目を移した。
ピンクはさらに機嫌が悪そうに部屋を出て行った。
『では、歌っていただきましょ~。プチっ子クラブでコネコの涙』
画面の中ではピーターが歌っていた。そのバックで他のメンバーが踊っている。
実に華やかと言うかなんというか…凄かった。
「ピーターちゃ~~~ん!!」
「いやー…ついにピーターも曲を出しますか」
「……だなぁ。なんかぐっと来るよな」
タイガとグリーンの語らいは長く続いていたその時だった。
『さー!TVの前のみんなに良いお知らせだよ!!今週の土曜日にファーストライブ開催!
チケットは番組終了後すぐ開始!限定2000人なので急いで電話の準備を!!』
「やべっ!早く電話しなきゃー!」
「わ、私も!!」
『ただ今より…。プチニャンクラブファーストコンサート。プチニャンフェスタ2006を開始します』
某月某日。プチニャンクラブのコンサート会場にはタイガとグリーン、他男子隊員数名…。
の、姿があった。
場内は大混雑。今か今かと観客たちはコンサートの開始を待ち沸いていた…。
「あ、あの…。がんばろうね。龍梧ちゃん」
「……」
ピーターは相方をつい無視してそのままステージへとあがっていく。
このままこのユニットが続くかどうかも解らない状況でお互いがギクシャクしていた。
「さぁ、始まりますので。プチニャンのみなさん位置についてくださいー」
「はーい!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド……
そのとき、突然場内に響く謎の音。
ステージの上にあるのは巨大目からしき物体。
「あっ!あれってもしかして…」
「あ?」
グリーンとタイガがそのメカの上に立っている人影に気がついた。
「……エコ?」
「その通り!俺様の優秀な頭脳で作り上げたこのメカでこんな場所ぶち壊してやるぜ!」
早速、エコのメカから大きな筒状の物が飛び出したかと思うとミサイルを発射し始めた。
ミサイルは四方八方に飛び、あちこちを爆破していった。
「危ないっ!」
突然ピーターの真上に落ちてきた瓦礫の破片に気がつき飛び掛ったのは高井奈美子だった。
「!?……なみちゃん……」
「龍梧ちゃん大丈夫……?」
「う、うん……」
「ピーターちゃ~ん!!大丈夫?」
「みなさん!ここは私たちに任せて非難してください」
慌ててタイガたちがステージに上がってメンバーを非難させる。
「コラァ!エコ!お前、オレの可愛いエンジェルたちに何するんだよ!」
「(エンジェルって…)」
悪エコは全く悪びれた様子が無かった。
「フン。オレに目をつけられる奴が悪いんだ。お前たちまとめて殺してやるぜ!」
「おやおや、これは穏便には行かないようですね☆」
「なんでお前落ち着いてるんだよ……」
グリーンはOFFレンボックスを取り出してタイガに渡した。
「?」
「ここはお友達同士で解決してくださいな。私はプチニャンの皆さんが心配なので!」
「うわっ!ずりー!!」
グリーンはすたすたとみんなの逃げた方へと去っていく。
「(くそー……このエコ、オレ嫌いなんだよなぁ……そうだ!!)」
「じゃぁ、お前から始末してやる!」
「よーし!きやがれ!ミサイル出ろ!」
タイガは思い切りボックスを床に投げつけると巨大なミサイルが出現した。
「フン。小癪な」
エコも負けじとミサイルの発射ボタンを押す。
するとタイガは突然ミサイルの上に乗った。
こっちに向かってくるミサイルを上手く避けながらタイガはエコに向かっていく。
「!!」
「(よし、もういいかな……)んーーー………ハッ!」
フッとタイガからレッドに戻った。
「あ、あれ?ここは一体?えぇ!?何、このミサイル!」
レッドを載せたミサイルはそのままエコに突っ込んでいった───。
先日の騒動でプチニャンクラブは解散。
ピーターはちょっと残念そうだったが彼女と仲直りもして一件落着。
「全然、一件落着じゃなーい!!」
医務室のベッドで包帯だらけのレッドが寝ていた。
「なんか気がついたらミサイルに乗ってるし爆発して怪我するし、エコは瞬間移動装置で逃げ出してるし!
結局僕だけが被害者じゃないか~!!しかも痛ーーい!!!」
レッドの不満は大爆発。
隊員たちもタイガの身勝手な作戦にほとほと困っていた。
「あ!そうだ!」
「何?何か良い薬でもあるわけ?」
「いえいえ、ちょっと……ね」
イエローはベッドの支柱に虎柄の布を張った。
「何?コレ。こんなんで治りが早くなるの?」
「痛みがなくなると思いますよ。じーっと見ててくださいね」
「?。う、うん…」
レッドがじーっと見つめているとポンとタイガへとチェンジした。
「あ、あれ?……い、いってーーーー!!!!」
タイガに変わった瞬間、思い切り動いたタイガはじたばたと転げまわった。
「くそー!レッドに戻ってやる!」
と、タイガはレッドに戻るもののレッドはまた虎柄を見つめる。
「……はーやれやれ……ってまたかよー!!いってーー!!!」
タイガはレッドに戻るもまた戻りとその繰り返し。
しまいに、タイガはぐったりしてしまった。
「こ、これじゃぁ直るまでずっと痛いままかよーー!!うわぁぁぁん!!」
タイガは滝のような涙を流し泣きはじめた。
「自業自得です。ちゃんと自分のしたことは自分で責任取ってくださいね☆」
「そうそう」
笑っている隊員をよそに、タイガは一日中泣いていたのであった。
「ぐす……卑怯者ぉ……」
「どっちがですか…;」
